折り目の記憶を呼び覚ます、30秒の美しい習慣
傘をたたむ瞬間のあのわずらわしさを、心地よい時間に変えたい。そんな想いから私たちは、折り目が崩れにくい「秒速プリーツ」という構造を形にしました。日常の小さなストレスをなくし、雨の日も日差しの強い日もスマートに過ごしてほしいという、設計上の挑戦でもありました。
しかし、実際に使っていただいたお客様から「思ったよりきれいにたためない」「結構時間がかかってしまう」という実直な声をいただくことがあります。ものづくりに携わる者として、製品を届けて終わりではなく、その先の日々まで美しく寄り添いたい。そこで今回は、傘の構造を知る設計者の視点から、本来の美しさを引き出す小さなたたみ方のコツをお伝えします。
鍵は「内側」。傘が持つ記憶を呼び覚ます
まず、傘を閉じたら、左右に2〜3回ほど軽く振ってみてください。実はこのシンプルな動作がとても大切です。傘の生地には、元々付いていた折り目に戻ろうとする力が備わっています。軽く振るだけで、その「記憶」が呼び覚まされ、全体の約80%は自然と元の美しい折り目へと戻っていきます。
次に、ここが一番の重要なポイントです。多くの方が「思ったよりきれいにたためない」という壁にぶつかってしまう原因は、実は「内側」にあります。
外側の生地だけを引っ張って巻こうとしても、内側の生地が骨の間に挟まったまま、くしゃくしゃに潰れていては、決してすっきりとは収まりません。外側を触る前に、まずは傘の内側に手を添えるようにして、骨と骨の間の生地を軽く整えてあげる。このひと手間を加えるだけで、その後の仕上がりが劇的に変わります。

最後の仕上げで、30秒の美しい習慣に
内側が整ったら、最後に外側を仕上げます。おそらく2〜3箇所、外側の角が少し内側に入り込んでいる部分があるはずです。そちらを優しく形を整えてあげてください。

あとは、折り目に沿ってバンドをくるりと巻いて収納するだけです。

文字にすると工程が多く感じるかもしれませんが、一度感覚を掴んで慣れてしまえば、わずか30秒ほどで流れるようにたためるようになります。きれいにたたまれた傘は、生地への余計な負荷を減らし、傘全体の寿命を延ばすことにもつながります。
お気に入りの道具と、少しだけ対話するように整える。この30秒の新しい習慣が、あなたの日々をより洗練された、心地よい時間へと変えてくれるはずです。
