これからの傘と、撥水のあたらしい付き合い方

最近、お気に入りの傘を使っていて、雨粒の弾きが少し早く引いていくように感じたことはありませんか。実は今、傘の製造現場では地球環境に向けた大きな変化が起きています。
世界的な環境規制に伴い、現在の傘生地は有害性が指摘される物質を排除した「PFOAフリー」への移行が主流となりました。完全な環境配慮型への過渡期にある今、率直にお伝えすると、最新の生地は従来の加工に比べて撥水の持続力が少し落ちやすいという特性を持っています。私たちはこの変化を、単なるスペックの低下ではなく、地球に優しいモノづくりへの大切な一歩として捉えています。
手のひらが触れる場所から、撥水は変化する
日傘や雨傘、晴雨兼用傘をたたむとき、私たちは無意識に生地に触れています。特に、全体をまとめる「帯(ネームバンド)」や生地の折り目の部分は、手の油分や摩擦の影響をダイレクトに受けるため、如実に撥水力が落ちやすくなります。お気に入りの一本を長く快適に使うためには、現代の傘の特性を理解し、自宅でそっと手を添えるような定期的なメンテナンスが欠かせません。
「防水」と「撥水」のあいだにある、正しい選び方
お手入れを始める前に知っておきたいのが、ケア用品の選び方です。一般的に、フッ素系を主成分とするものは繊維を塞がずに水を弾く「撥水」、シリコーン系を主成分とするものは表面に膜を張る「防水」の性質を持っています。
しかし店頭では、撥水目的であっても「防水スプレー」という名称で一括りにされているケースが少なくありません。大切なのは名前だけで判断せず、必ず裏面の成分表示や「傘に使用できるか」という適応表示を確認することです。
私たちが今の傘のケアとしておすすめしているのが、化学メーカーが開発したケア剤「Lifoop(リフープ)」です。フッ素とシリコーンを組み合わせたハイブリッド製法により、傘本来の美しい風合いや通気性を保ちながら、確かな撥水性と防汚性を叶えてくれます。
シミを防ぎ、傘を育てる「重ね掛け」の知恵
スプレーを使用する際に、最も大切なコツは「決して一度に大量に掛けすぎないこと」です。
良かれと思って贅沢に吹き付けると、生地の表面に液だまりができ、シミの原因になってしまいます。ほんの少し、表面にうっすらと霧をまとわせる程度で十分に効果を発揮します。
より高い効果を持たせたい場合は、一気に塗るのではなく「少量を全体に吹き付けて完全に乾かし、その後にまた少量を重ねる」という工程を繰り返してください。この薄く重ねるケアによって、シミを防ぎながら強固な撥水層を作ることができます。
ほんのひと手間のメンテナンスは、単なる作業ではなく、お気に入りの傘を自分の手で育てる豊かな時間。次の雨の日が、少しだけ待ち遠しくなるはずです。

