日差しが落ち着く季節に考える。来シーズンを共にする「理想の一本」の選び方。

秋が深まり、日差しが和らぐ11月。夏の間、酷使してきた日傘との付き合い方を一度見直すのに良い時期です。実はこのオフシーズンこそ、来シーズンを共にする「本当に頼れる一本」を冷静に見極める絶好の機会でもあります。

現在、市場の主流は「晴雨兼用傘」ですが、その実力は千差万別。30年以上傘の開発に携わってきた視点から、スペック表の数値だけでは測れない、高性能な一本を見極めるための本質的なチェックポイントを紐解きます。

遮光率の先にある「照り返し」への配慮

「100%遮光」を謳う傘を差していても、眩しさや日焼けを感じることがあります。その原因の多くは、地面や壁から反射して傘の内側に入り込む「照り返し」です。

高性能な傘は、上空からの光だけでなく、この足元からの反射光への対策を欠かしません。重要なのは、傘の「裏地の色」です。内側が黒色や濃色であれば、入り込んだ光を吸収し、顔や首筋への照り返しを効果的に抑えられます。逆に内側が明るい色だと、光が傘の中で乱反射し、かえって肌にダメージを与える要因になり得ます。傘を開いた際、内側の影が濃く、目がスッと落ち着く感覚があるか。それが、プロがまず確認する基準です。

雨傘としての「タフさ」を妥協しない設計

「晴雨兼用」を冠する以上、夏の日差しだけでなく、秋から冬にかけての冷たい雨や、突風にも耐えうる性能が求められます。ここで差がつくのは、目に見えない部分の耐久性です。

雨が生地に染み込まないための「耐水圧」はもちろん、注目すべきは骨の素材。軽さと強さを高次元で両立させるには、航空機等にも使われるカーボンファイバーが理想的です。強風をしなやかに受け流す構造であるか、そして雨を弾き続ける「撥水持続性」が考慮されているか。日傘としての顔だけでなく、雨傘としての骨太な設計こそが、長く愛用できる傘の条件となります。

日常を支える「軽さ」と開閉の所作

どんなに高性能な傘でも、持ち運びが負担になれば出番は自然と減ってしまいます。現代の技術では、高い遮光性能を維持しながら、100g〜200g台を実現した超軽量モデルも選択可能です。

さらに大切にしたいのが、開閉時の手触りや所作です。荷物が多い時に便利な自動開閉機能や、ベルトなしでスマートにまとめられる構造など、日々の動作にストレスを感じない工夫があるか。数値化されたスペックだけでなく、自分の生活動線に心地よく馴染むかどうかが、最終的な満足度を左右します。

今、冷静な目で品質を見極めることは、未来の快適さへの投資に他なりません。流行や価格に惑わされず、細部に宿る「機能美」をぜひ見極めてみてください。


アンベル株式会社 CEO

執筆者:辻野義宏

30年以上に渡って傘の開発および研究を続けている。革新的な機能を追求し続ける日本の傘ブランド「AMVEL (アンベル) 」では、時代によって変化するベストを追求し、最先端の技術を駆使した傘をお届けしています。