自動開閉傘が「壊れる」最も多い原因は?

雨の日の車の乗り降りや、荷物で手が塞がっているとき。ボタンひとつで「ポン」と開き、もう一度押せば「パサッ」と閉じる自動開閉傘は、現代の忙しい日常において非常にスマートな道具です。しかし、この便利な道具が「急に動かなくなってしまった」というご相談をいただくことがあります。

実は、自動開閉傘が機能しなくなる原因の多くは、故障というよりも「操作の癖」による機構への負担なのです。

知られざる「閉じるボタン」の役割

驚かれるかもしれませんが、自動開閉傘をお使いの方の中には「閉じるときもボタンを使う」ということをご存じない方もいらっしゃいます。

「開くときはボタンだけど、閉じるときは普通の手動傘と同じように、自分の手で引き下ろすものだと思っていた」

過去にそうお話ししてくださったお客様がいらっしゃいました。長年、手動の折りたたみ傘に親しんできた私たちにとって、傘の骨が集まる「ろくろ」を手で引き下げる動作は、もはや無意識の習慣といえるかもしれません。しかし、自動開閉傘において、この無意識の動作が思わぬ不具合を招くことがあります。

内部で支え合う「高強力繊維」の役割

傘という道具全般で見れば、自動開閉の仕組みは複雑な構造を持っています。中棒(シャフト)の中には強いバネが仕込まれており、さらにその内部には「高強力ポリエチレン繊維」と呼ばれる、非常に強靭で細い紐が張り巡らされています。

ボタンを押すことで、この強靭な紐とバネが連動し、力を伝えて傘を閉じさせます。ところが、ボタンを使わずに「ろくろ」を直接手で引っ張ってしまうと、本来ピンと張っていなければならない紐の張力が緩み、内部の機構に紐が絡まってしまいます。

一度紐が絡まってしまうと、分解して修復することは非常に困難です。これが自動開閉傘のボタンを押しても反応しなくなったり、開閉がスムーズにいかなくなったりする決定的な原因となります。

「見えない不具合」を未然に防ぐ

自動開閉傘の扱いで難しいのは、手で無理に閉じてしまった直後、外観には何の異変も見られないことです。骨が折れたわけでも、生地が破れたわけでもありません。見た目はきれいなままなのに、内部の開閉機構だけが損なわれている。そのため、次に使おうとしたときに動かず、「なぜ壊れたのかわからない」という状況になりやすいのです。

自動開閉傘と長く心地よく付き合うコツは、とてもシンプルです。

  1. 開くときも、閉じるときも、必ず「ボタン」を使う。

  2. ボタンで傘がすぼまった後、最後に中棒をカチッと押し込むときだけ、自分の手を使う。

このルールさえ守っていただければ、内部の機構を傷めることなく、その利便性を長く享受できます。

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また、補足として「飛び出し防止機能(安全機構)」付きのモデルをお使いの方に知っておいていただきたいことがあります。このタイプの傘は、中棒を収納する際に最後のリミットまで「カチッ」とロックされるまで押し込まないと、次にボタンを押しても開かない設計になっています。途中で止まった状態では動作しないため、これを故障だと早合点してしまうケースもありますが、最後まで押し切ることで正常に戻ります。

道具の仕組みを少しだけ理解して操作してあげる。そのひと工夫が、雨の日の相棒をより長く、頼もしい存在に変えてくれるはずです。


アンベル株式会社 CEO

執筆者:辻野義宏

30年以上に渡って傘の開発および研究を続けている。革新的な機能を追求し続ける日本の傘ブランド「AMVEL (アンベル) 」では、時代によって変化するベストを追求し、最先端の技術を駆使した傘をお届けしています。