秒速プリーツ「Snow」カラーに込めた機能と進化

傘を設計する際、私たちは常に「機能」と「美しさ」の最適なバランスを模索しています。折り目を美しく保ち、スムーズに畳める「秒速プリーツ」シリーズ。その中の最も淡いカラーである「Snow」には、100%遮光の機能と生地の色表現という、製造現場における技術的な葛藤が隠されています。

プリーツの美しさと100%遮光を両立する選択

なぜ、私たちの「Snow」は、一般的な白よりも少しグレーがかって見えるのか。通常、他社の日傘では、表の生地色をきれいに発色させるため、遮光フィルムの裏面(生地と接する面)に白いフィルムを採用することが多いです。

しかし私たちは、プリーツの形状を美しく保つことを最優先しました。あまり技術的な詳細は明かせませんが、黒いフィルムの方が形状記憶加工の効果が高いため、生地の裏側には黒を採用する選択をしました。

白生地の裏に黒が合わさるため、仕上がりはどうしてもグレーがかったくすみカラーになります。さらに、傘の生地は必要な量を製造する過程で、ロットによるわずかな色ブレが生じます。生地がややグレー寄りに染まった回は、裏の黒フィルムと合わさることで、よりグレー味が強くなってしまいます。技術者たちと何度も調整を試みましたが、指定通りの白を安定して再現することは難しく、これまでの製法では持続性がないという結論に至りました。

色ブレの課題とフィルムへの新たな工夫

お客様からは「Snowというより、アイスグレーのようだ」「思ったよりくすんでいる」という率直なご意見をいただきました。色名の変更も検討しましたが、私たちはこの課題に対して技術的なアプローチで解決することを選びました。当面の間は「Snow」の名称のまま販売を継続しますが、今年の秋以降に入荷する商品から、遮光フィルムに新たな工夫を施します。

生地と接する面に独自の処理を加えることで、裏の黒い影響を抑え、より白に近いカラーを再現できるようになりました。同時に、ロットごとの色ブレも目立たなくなり、私たちが目指す品質を安定して届ける体制が整いました。

現在のSnowとこれからのSnow

秋からは改良版のSnowが入荷しますが、現在販売しているモデルも決して劣るものではありません。ありがたいことに「落ち着いたカラーでよかった」と好意的に受け止めてくださるお客様も多くいらっしゃいます。

傘という限られた構造の中で、100%遮光の安心感と、折りたたみの美しさ、そして理想の色を追い求める。今の少しシックなアイスグレー風のカラーも、これからの新しいカラーも、それぞれの良さがあります。日々の装いに合わせて、日差しを気にせず心地よいお出かけを楽しんでいただけることを願っています。


アンベル株式会社 CEO

執筆者:辻野義宏

30年以上に渡って傘の開発および研究を続けている。革新的な機能を追求し続ける日本の傘ブランド「AMVEL (アンベル) 」では、時代によって変化するベストを追求し、最先端の技術を駆使した傘をお届けしています。