日傘・晴雨兼用傘を健やかに保つ、日常の所作。

厳しい日差しを遮り、熱を跳ね返す100%遮光の折りたたみ日傘は、いまや夏の外出に欠かせない、心強いパートナーです。私たち設計者は、一本の傘がその機能を最大限に発揮できるよう、骨の構造や生地の質感、そして開閉のスムーズさを追求しています。

しかし、どんなに優れた設計の傘であっても、日々の何気ない扱いのクセによって、その寿命が縮まってしまうことがあります。お気に入りの一本と、来年も再来年も心地よい時間を過ごしていただくために。今回は、傘の製造に携わる立場から、ついやってしまいがちな「避けてほしい5つの習慣」をお伝えします。

シャフトの伸縮と、生地の扱いに潜むリスク

折りたたみ日傘で最も負荷がかかる瞬間のひとつが、シャフト(中棒)を動かすときです。使うために伸ばす際、あるいは使い終わって縮める際、無意識に「畳んだ状態の生地を強くにぎる」ことはありませんか。

このとき、内側の硬い骨と生地が強く押し付けられ、大きな摩擦が生じます。これが繰り返されると、繊細な100%遮光コーティングを傷つけたり、生地にピンホール(小さな穴)が開く原因になります。シャフトを伸縮させるときは、生地を握り込まないよう意識するだけで、傘の寿命はぐっと延びます。

また、収納時に「きれいに畳もうとして生地を強くひっぱる」ことも、実は控えていただきたい行為のひとつです。生地を強く引っ張ってしまうと、傘の骨と生地を固定している「中綴じ」という重要な縫製箇所に過度な負荷がかかり、糸が徐々に緩んでしまいます。

仕上げにネームバンド(傘生地をまとめるベルト)で留める際も、優しく添えるだけで十分です。きつく巻きすぎると、生地に深いシワが残るだけでなく、骨に余計な圧力がかかり、全体の歪みを招く恐れがあります。

開く瞬間のゆとりと、使った後の労い

次に意識していただきたいのが、傘を「開くとき」の動作です。急いでいるとき、つい勢いよくバサッと開いてしまいがちですが、これは骨に過度な衝撃を与える「骨折れ」の大きな要因となります。まずは生地を軽く左右に振ってよくほぐし、一度半開きの状態にしてから、ゆっくりと押し上げてください。そのわずかな「ゆとり」が、骨への負荷を減らし、傘のメカニズムを健やかに保ちます。

そして、もし外出先で雨に降られたり、結露で生地が湿ったりした場合は、決して「濡れたまま放置」しないでください。湿気はカビや臭いの元になるだけでなく、金属パーツの劣化を早めます。帰宅後は風通しの良い場所で陰干しをし、完全に乾ききってから収納するのが、愛着を持ち続けるための大切なルールです。


傘をいたわる所作は、自分自身の立ち居振る舞いを整えることにもつながります。ほんの少しの手加減と、使い終わった後のひと手間。それだけで、あなたを守る日傘は、いつまでも美しく、その機能を果たし続けてくれるはずです。


アンベル株式会社 CEO

執筆者:辻野義宏

30年以上に渡って傘の開発および研究を続けている。革新的な機能を追求し続ける日本の傘ブランド「AMVEL (アンベル) 」では、時代によって変化するベストを追求し、最先端の技術を駆使した傘をお届けしています。