
荷物の隙間に、そっと寄り添う。23mmという「究極の薄さ」が雨の日を自由にする。
「持っていることのストレス」を解消したい
傘のスペシャリストとして30年以上、私は「いかにして傘を、使う人の負担にならない存在にするか」を問い続けてきました。折りたたみ傘は便利な道具ですが、多くの人が「カバンの中でかさばる」「重くて持ち歩くのが億劫」という不満を抱えています。
特に、朝の天気予報で「今日は雨が降るかも」と聞いた時のあの憂鬱。カバンに無理やり詰め込んだ傘がスペースを占領し、結局雨が降らなければ「ただの邪魔な荷物」になって後悔してしまう。そんな日常の小さなストレスを、技術の力で解決したい。それがFLATLITE Standard(フラットライトスタンダード)の開発の出発点でした。目指したのは、まるでスマートフォンのようにカバンの隙間にスッと収まり、持っていることを忘れてしまうほどの携帯性です。
素材と構造の極限に挑んだ、マニアックな試行錯誤
「薄さ」を追求する上で、まず取り組んだのが生地の選定です。一般的な傘生地では、どうしても畳んだ時に厚みが出てしまいます。そこで目をつけたのが、ストッキングにも使われるような超極細の15デニール糸で織り上げた軽量リップストップ生地です。この繊細な生地を、独自開発の薄型骨組み構造と組み合わせることで、厚さわずか約23mmという驚異的な数値を実現しました。
しかし、単に薄くするだけなら簡単です。傘としての「本質的な機能」を損なわないことが、私の譲れないこだわりでした。「薄いけれど、開けばしっかり大きい。そして何より、壊れにくいこと」。この二律背反する課題をクリアするために、フレームの設計にはミリ単位の調整を繰り返しました。親骨の一部には、航空機にも採用される軽量で強靭なカーボンファイバーを導入。さらに、弾力性の高い素材を組み合わせることで、風速15m/sの強風にも耐えうるタフな骨格を完成させたのです。
軽さの裏にある「タフ」な設計と、微細な工夫
スペックを追求する中で、私が特にこだわったのが「シリコーンワッシャー」の採用です。実は、激しい雨の際に傘の内側から水が染み出してくる原因の多くは、生地と骨の接続部分にある微細な隙間です。FLATLITE Standardでは、この隙間に特製のシリコーン製ワッシャーを挟み込むことで、水の侵入を大幅に軽減しました。
雨の日を「身軽に」楽しむための、新しいスタンダード
この傘を手に取ったとき、その薄さと軽さに驚かれるかもしれません。しかし、本当に実感していただきたいのは、雨の日の外出が軽やかになるという「体験」そのものです。カバンのサイドポケットや、アウターのポケットに忍ばせておけば、急な雨に慌てることも、荷物の重さにため息をつくこともありません。
環境への配慮として、人体や環境に有害な物質を含まないPFOAフリーの撥水剤を採用するなど、現代の道具としてあるべき姿も追求しました。FLATLITE Standardは、私の経験と日本の緻密な設計思想が結実した一品です。これまでの折りたたみ傘の常識を捨て、新しい軽快な毎日を始めてみませんか。あなたの日常に、スマートな安心をお届けできることを願っています。