来年も、あの「木陰」を連れて歩くために。

日差しが和らぎ、秋の気配が深まってきました。過酷な夏の間、私たちの肌と体温を守り続けてくれた日傘。そろそろクローゼットへ仕舞う準備を始めている方も多いのではないでしょうか。

お気に入りの道具を長く、最良のコンディションで使い続けるためには、シーズン終わりの「メンテナンス」という儀式が欠かせません。高機能な日傘は、単なる雨具の延長ではなく、特殊なコーティングが施された「精密な装備」です。

来年の夏も、開いた瞬間にあの「スッ」と涼しくなる感覚を再現するための、正しいお手入れ方法を解説します。


40℃のぬるま湯が、機能を守る。

日傘のお手入れの基本は、驚くほどシンプルです。「優しく洗い、しっかり乾かし、ふんわり保管する」。これに尽きます。

まず、洗浄には40℃前後のぬるま湯を使用してください。シャワーの圧を弱め、生地の表面をなでるように汚れを流します。ここで重要なのは、洗剤や漂白剤を一切使わないことです。

100%遮光を実現する特殊なコーティングや撥水層は、化学薬品に非常にデリケートです。良かれと思って使った洗剤が、機能を損なう原因になりかねません。

手垢や軽い汚れであれば、ぬるま湯だけで十分に落とすことができます。また、骨組みの錆を防ぐため、縫い目には直接水を当てすぎないのがプロのコツです。


「陰干し」という、最も大切な工程。

洗浄以上に重要なのが、乾燥です。日傘を濡れたまま、あるいは半乾きの状態で収納することは、カビや異臭の最大の原因となります。

水気を拭き取った後は、風通しの良い日陰で時間をかけて乾かしてください。生地が重なっている部分は水分が残りやすいため、完全に乾いたことを指先で確認するまで、決して仕舞わないでください。

保管の際は、バンドをきつく締めすぎず、折り目に沿ってふんわりと畳むのが理想的です。生地に無理な圧力をかけないことで、コーティングの劣化やシワを防ぎ、来シーズンも美しいフォルムで使い始めることができます。

10月は紫外線量が落ち着き、日傘を休ませる絶好のタイミング。ひと夏を共にした相棒に感謝を込めて、少しだけ手をかけてあげてください。その一手間が、来年の夏の快適さを約束してくれます。


アンベル株式会社 CEO

執筆者:辻野義宏

30年以上に渡って傘の開発および研究を続けている。革新的な機能を追求し続ける日本の傘ブランド「AMVEL (アンベル) 」では、時代によって変化するベストを追求し、最先端の技術を駆使した傘をお届けしています。