「マイナス●●度」という幻想。数字の裏側にある真実。

最近、日傘の広告で「傘の下はマイナス●●度!」といったセンセーショナルな表現を目にする機会が増えました。遮熱日傘の競争が激化し、分かりやすい訴求が求められる中で、こうした表現は消費者の目を引きます。
しかし、この「マイナス●●度」という言葉には、大きな誤解を招く危険性が潜んでいます。今回は、傘の専門メーカーとして、この数字の裏側にある真実と、本当に涼しい日傘を選ぶための視点をお伝えします。
その数字は「気温」ではない。
結論から申し上げます。「傘をさしただけで気温が下がる」わけではありません。
広告で謳われる「マイナス●●度」という数字は、特定の試験環境下(例えば、室温25℃、湿度50%など)で、熱源(人工太陽光)を当てた際の、生地の有無による温度上昇の差を測定したデータです。
これはあくまで、熱をどれくらいカットするかという「遮熱性能」を示す指標であり、実際の屋外で気温が下がることを保証するものではありません。
消費者庁も、こうした事実と異なる、あるいは誤認を招く表示を景品表示法(優良誤認表示)で規制しており、根拠のない「マイナス表示」は法律に抵触する恐れがあります。
湿度が奪う「体感温度」の真実。
なぜ、試験データと実際の体感に差が生まれるのでしょうか。その最大の要因は「湿度」です。
日本の夏の平均湿度は60%〜70%と非常に高く、猛暑日には75%を超えることも珍しくありません。一方、一般的な遮熱性試験は、湿度が低く快適な環境で行われます。
湿度が低いと汗が蒸発しやすく涼しさを感じやすいですが、高湿度の日本の夏では汗が蒸発しにくく、熱が体にこもります。
そのため、試験で高い遮熱効果が示されても、ジメジメした実際の屋外では、数字ほどの涼しさを感じにくいことがあるのです。
誠実な数値が語る、本物の涼しさ。
アンベルでは、こうした数字のトリックに頼らず、本当に涼しい日傘を追求するために、遮熱に対する独自の考え方と測定方法を確立しています。
私たちは、生地単体の性能を測る「遮熱率(JIS規格)」に加え、実際の使用に近い環境で製品としての涼しさを測る独自の「遮熱効果率」という2つの数値を公開しています。
これにより、消費者の皆様に、生地の性能だけでなく、製品としての真の実力を知っていただきたいと考えています。
アンベルの「HEATBLOCK」は、太陽光に含まれる熱の主原因である近赤外線を99.9%カットする特殊生地を採用しています。これにより、傘の下にまるで木陰のような快適な空間が生まれます。
今年の夏は、根拠の曖昧な「マイナス表示」に惑わされず、信頼できるデータに基づいた、本当に価値ある一本を選んでみてください。