まぶしさの正体。100%遮光のさらに先にある「光の科学」。

「日傘を差しているのに、なぜか目が疲れる」 そんな違和感を覚えたことはないでしょうか。紫外線を防ぎ、影を作っているはずなのに、視界に刺さるようなギラつきを感じる。

その正体は、私たちが「光」として認識している「可視光線」にあります。

日傘選びにおいて、UVカット率や遮光率はもはや当然のスペックとなりました。しかし、道具としての完成度を追求するならば、次に注目すべきは「可視光線100%カット」という領域です。

これは単に日焼けを防ぐだけでなく、私たちの「視覚的ストレス」と「体感温度」を劇的に変える、新しい時代の基準です。


目に優しく、熱を遮る「波長」のコントロール

太陽から届くエネルギーのうち、私たちが熱として感じる成分の約半分は可視光線に含まれています。つまり、可視光線を徹底的にブロックすることは、そのまま遮熱性能の向上に直結します。

100%遮光の生地がもたらすのは、まるで深い森の木陰に入ったような穏やかな視界です。まぶしさによる目の筋肉の緊張が解け、外出時の疲労感が驚くほど軽減されるのを実感できるはずです。

ここで重要なのが、傘の「内側の色」です。外側で光を反射しても、地面からの照り返しが傘の内側で乱反射しては意味がありません。

内側を黒などの濃色にすることで、照り返しを吸収し、目への負担を最小限に抑える。これが、光学的な視点から導き出された「道具」としての正解です。


スペックの裏側にある「誠実な計測」

私たちは、この性能を証明するために「可視光線カット率」という指標を重視しています。

一般的な遮光率が「明るさの量」を測るのに対し、こちらは分光光度計を用い、虹のような光の成分(波長)を一つずつ精密に測定するものです。

ただし、私たちはあえて「完全遮光」という言葉は使いません。どれほど優れた生地でも、傘として仕立てる際のミシン目や刺繍から、わずかな光が漏れる可能性はゼロではないからです。

生地性能としての「100%」を追求しながらも、製品としての限界を正直に伝える。それが専門メーカーとしての矜持だと考えています。

数値の先にある、静かで涼やかな視界。可視光線までもコントロールされた一本を手に、これまでにない快適な夏を歩いてみてください。


アンベル株式会社 CEO

執筆者:辻野義宏

30年以上に渡って傘の開発および研究を続けている。革新的な機能を追求し続ける日本の傘ブランド「AMVEL (アンベル) 」では、時代によって変化するベストを追求し、最先端の技術を駆使した傘をお届けしています。